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2025.11.12
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エピローグ　光の先へ

 

人物紹介
    • 安達里美
      杉並区高円寺の福祉事業所「ケアプランセンター愛」に勤める若手ケアマネジャー。
      経験は浅いが、利用者や家族に真摯に向き合い、日々奮闘している。悩みや葛藤を抱えながらも、誰かの「ありがとう」に救われる繊細で誠実な女性。
    • 藤森友和
      利用者の暮らしに寄り添う、福祉用具専門相談員。現場経験が豊富で、誠実な対応と丁寧な説明に定評がある。
      穏やかな物腰の中に、まっすぐな情熱を秘めた人。安達にとって、仕事の支えであり、心の支えにもなっていく存在。

エピローグ

光の先へ

花火大会の翌朝、高円寺の街はいつも通りの静けさを取り戻していた。
安達里美は、まだ少し夏の香りが残る窓を開けて、ゆっくりとコーヒーを淹れていた。 昨夜のことを思い出すと、自然と口元に笑みがこぼれる。
（……本当に、あの人とここまで来られるなんて）
それは、単なる恋の始まりではない。
自分の仕事に真摯でありながら、誰かを信じ、支え合う決意。そう、“ふたりで生きていく”という誓いだった。
その日、藤森から一本の連絡が入る。
「新しい在宅支援の拠点、見学しませんか？ 一緒に、これからの地域づくりを考えていきたいんです」
一瞬、驚きながらも、すぐに里美は頷いた。
（私たちの仕事は、誰かの暮らしの希望になる）
藤森とともに歩む未来。
それは、誰かを支えることに誇りを持ち、同時に、ひとりの女性として愛されながら生きていく人生。
コーヒーをひと口含み、里美はカレンダーを見る。
次の花火大会まで、あと364日。
窓の外に吹き抜ける風が、どこかやさしかった。
終

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