Nコラム
物流倉庫はメーカーなどから出荷された商品を保管しておく建屋を指します。保管された商品は品質に影響のない状態で管理されます。
そもそも倉庫のはじまりは、弥生時代に遡ります。農業が始まるとともに、収穫した穀物を貯蔵するための建屋が必要となり、ネズミなどから穀物を守る高床式倉庫がつくられるようになりました。その後、時代が進むにつれ、倉庫には食べ物以外に書物や工芸品、美術品などが保管されるようになりました。現代では保管する商品を最適な品質状態に保つため、温度管理ができる倉庫や自然災害に強い構造を持つ倉庫など、目的によって多様化しています。
物流業界では、物流倉庫とともに「物流センター」という言葉もよく聞きます。物流倉庫は商品を長期的に保管する施設であるのに対し、物流センターは主に流通の中継地点として機能する施設であると定義されています。保管や管理が中心の物流倉庫に対し、物流センターは入出荷や仕分け、配送準備などが主な業務となります。
物流倉庫は保管する商品の性質によって、さまざまな機能や役割を持っています。それぞれの倉庫の特徴について解説していきます。
常温倉庫
温度を管理する機器・設備が取り付けられていない倉庫を指します。温度管理を必要としない商品を保管することに向いています。
冷蔵倉庫
摂氏10度以下の低温で商品を保管できる倉庫です。冷蔵倉庫は保管可能な温度によって、C3級(10度以下~-2度未満)からF4級(-50度以下)の間を7つの温度帯に分けて区別しています。
冷凍倉庫
一般的にF級(-18~-40度以下)に分類される商品を対象にした倉庫で、冷凍食品、アイスクリーム、畜肉、魚介などを保管するのに向いています。
定温倉庫
温度が一定に保たれている倉庫を指します。定義としては冷蔵倉庫と同じですが、10度以下は冷蔵・冷凍倉庫に該当するため、それ以外の温度帯を一定に保つ倉庫として認識されています。主に精密機械や食品、化粧品などを保管することに向いています。
ディストリビューションセンター(DC)
保管機能を持つ一般的な物流倉庫を指します。メーカーなどから入荷した商品を一度保管し、出荷指示に合わせて出荷する機能を持っています。
トランスファーセンター(TC)
在庫を持たない倉庫を指し、一般的な倉庫が持っている保管機能がありません。主に商品の積み替え作業を行うための中継拠点として機能しています。
プロセスディストリビューションセンター(PDC)
商品の加工作業も行える物流倉庫を指します。主に鮮魚や精肉などの加工を行っていることが多いようです。
フルフィルメントセンター(FC)
ECサイトの事業者が、商品を顧客に届けるための倉庫です。在庫管理から商品の梱包、発送、返品対応などを一括して行うことができます。
物流倉庫は商品の入荷から出荷に至るまで、さまざまな作業が実施されています。ここでは物流倉庫で行われている作業について紹介していきます。
入荷
メーカーなどから出荷された商品を物流倉庫に入れる作業を入荷と呼びます。商品の特性を考慮し、品質を維持するため最適な保管場所、保管方法で管理します。
検品
入荷した商品に間違いがないか、破損やキズなどがないかをチェックします。また、ピッキング作業後に再度検品することもあります。
流通加工
お客様のニーズに合わせて加工が必要な場合、倉庫の中で作業します。
在庫管理
物流倉庫の中にどんな商品がどれくらい保管されているのかを把握するのが在庫管理です。商品名や種類、入荷の日付などを管理し、ピッキングや仕分け時にスムーズに商品を見つけられるようにします。バーコードやRFIDなどによるデジタルツールを活用することで、在庫管理がよりラクに正確に行うことができます。
ピッキング
商品を出荷する際、帳票や指示書に従って必要な商品を必要な量だけ取り出します。ピッキングは作業員が広い倉庫を歩いて見つけることが多いため、よく出る商品や重い商品は、仕分けエリアや梱包エリアに近い場所に保管するなどの工夫が必要です。
仕分け
ピッキングした商品を配送会社別や送付先エリア別に分けます。仕分けにミスがあると、配送までの時間が長くなってしまうので注意が必要です。ミスなく、スピーディーに行うのがポイントです。
梱包
運搬する過程で商品が破損しないように仕分けした商品を梱包します。梱包した後は運送用の伝票を発行し、商品を入れたダンボールなどに貼付。壊れやすい商品には割れ物ラベルなども貼ります。
出荷
梱包した商品をトラックに積み込み、指定されたエリアやお客様の元へ配送します。
出荷業務
以上のような一連の流れを出荷業務と言います。基本的な流れは出荷指示があった後、倉庫に在庫している商品から指示書通りに商品をピッキングし、検品。その後、梱包・仕分けして出荷するという作業フローを経ます。この際、注意したいのは誤出荷です。誤出荷はお客様や取引先などに不信感や不満を与えてしまいます。ミスがないようにチェックリストを見直したり、ヒューマンエラーが起きない仕組みを構築したりする必要があります。
近年、人材不足によってどの業界も省人化や自動化が進んでいます。物流業界も例外ではありません。倉庫業務の効率化を図るためにデジタル機器やシステムを導入し、ミスなくスピーディーな倉庫業務を実現している企業が数多くあります。倉庫業務をより効率化するためのポイントや導入時の注意点を解説します。
出荷業務で手間のかかる仕分けやピッキング作業を自動化させ、省人化を実現させます。自動仕分け機やAGV(自動搬送車)などを活用することで、業務品質が向上し、省人化によるコスト削減が期待できます。
WMSは「Warehouse Management System」の略称で、倉庫管理システムと呼ばれています。入荷、在庫管理、出荷をデジタル化し、正確性とスピードアップを実現することができます。特に在庫管理においては、適切な在庫量を維持することで、過剰在庫や欠品を最小限に抑えることが可能。ヒューマンエラーによる出荷ミスなども軽減できます。
ただ、WMSは大規模なシステムとなるため、導入時にイニシャルコストが高額になり、導入後もWMSを使いこなすための教育に時間と労力が必要となります。
IoTは「Internet of Things」 の略で「物のインターネット化」を指します。これまでのデータ管理はコンピューター間の通信で行うのが主流でしたが、物そのものをインターネット化する考え方が「IoT」です。
たとえば、温度管理。これまでは倉庫内に設置した温度計を目視で確認し、手書きで帳票などに記載していましたが、温度センサーを活用することで、データ収集を自動的に行い、倉庫内の温度を一元的に管理することができます。また「RFID(Radio Frequency Identification)」の活用も有効です。商品や商品の入っている箱などにICチップの入った電子タグを取り付けることで、電子タグが無線電波を発信。その物が倉庫内のどこにあるのかが把握できるだけでなく、移動させた場合の履歴も残り、商品の詳細な内容もリーダーで読み取ることができます。
物流倉庫はメーカーなどから出荷された商品を保管・管理する役割を持ちます。物流倉庫の中ではさまざまな作業が行われていますが、近年では多くの作業がデジタル化により省人化、効率化されており、その流れはさらに加速しそうです。将来的には実作業はすべて機械化・自動化される時代が来るかもしれません。そのような波に乗り遅れないよう、物流倉庫内の作業を効率よく行えるさまざまな機器を把握し、計画的に導入していくことが重要です。
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