Nコラム
SKUは「Stock Keeping Unit(ストックキーピングユニット)」の略称で、日本語では「最小在庫管理単位」と訳されます。単位なので「g(グラム)」や「個」と同じように扱われ、商品一つひとつを識別するために用いられる固有のコードのようなものだと思ってください。
たとえば、半袖の赤色のTシャツSサイズの場合「HRS(HALF RED SHIRT S sizeの略)」と設定しておけば、これが半袖の赤色のTシャツSサイズの固有コードになります。
また、SKUは単なる商品の識別コードではなく、正確な在庫管理、効率的なピッキング・梱包作業、販売分析による戦略立案など、物流業務全体の最適化や今後の販売方針を決定する上で欠かせません。
SKUは基本的に在庫を持つ業態ならどこでも使用できます。たとえば食品やアパレル業界などでは、在庫管理をするために必須の単位なので覚えておきましょう。
SKUが在庫管理においてどれほど重要なのか? その役割について例を用いながらわかりやすく紹介します。
商品一つひとつの在庫状況をリアルタイムに把握
赤色のTシャツひとつとっても、いろいろなサイズがあります。もしそのTシャツにサイズが「S、M、L」の3種類あれば「3SKU」と表すことができます。その上で「赤いTシャツのどのサイズの在庫が少ない?」といったことにも、Excelのような表計算ソフトで管理していれば「赤色のTシャツはMサイズが少ない」といった具合に分かり、どのサイズを追加発注すればいいのかが明確になります。
商品ごとに適正在庫を実現できる
SKUで管理していれば、上記のように在庫不足になることがないため、販売の機会損失を防ぐことができます。またその逆で、在庫を抱えすぎることを防ぐこともできます。多すぎる在庫は保管場所を圧迫します。常に適正な在庫で運用していくことが大切なのです。
ピッキング作業の効率化に貢献
SKUで管理し、倉庫内でもSKUごとに保管場所を決めておけば、商品をピッキングする際、どの場所にどの商品が保管されているかがすぐにわかります。商品を探すロスがなくなるので時短にもつながります。
迅速なピッキング作業が可能
SKUをバーコードや二次元コードと連携させることで、スキャナーを使った迅速なピッキングが可能になります。スピードだけでなく、ヒューマンエラーの削減にもつながるため、お客様からの信頼度も増します。
SKUを導入することのメリットとしては主に「効率的な在庫管理」が挙げられますが、その他にはどんなことがメリットとなるのでしょうか。項目を立てわかりやすく解説をしていきます。
多数の品目に対応できる
商品の品目数が多くなるにつれて、在庫を正確に管理できなくなったり、誤出荷が生まれたりするなどの問題が発生します。そんなとき、SKUを導入することによって在庫状況が把握しやすくなり、ヒューマンエラーを軽減することができます。今後、商品を増やしていく予定がある場合は、早めに導入を検討することをお勧めします。
発注作業が簡単になる
SKUで商品を管理すれば、発注作業が簡単・便利になります。たとえば、半袖の赤色のTシャツSサイズを10枚発注する場合、SKUを設定していないと「半袖の赤色のTシャツSサイズ」とすべて入力しなければなりません。しかし「半袖の赤色のTシャツSサイズ」を「HRS(HALF RED SHIRT S sizeの略)」と設定しておけば、これだけで指定の商品を発注することができます。
データ分析による経営判断の改善ができる
SKUを活用すれば、商品の売上データを細かく分析できます。たとえば、売上データをSKUでソートして分析できれば、どのタイミングでどんな商品が売れているのかが正確に把握できます。SKUを活用して出荷の傾向が把握できれば、そのデータを元にして商品の在庫数を調整することもできます。
商品陳列の計画時に役立つ
実店舗を持つ小売業にとって、商品の陳列は売上を左右する重要な要素。どの小売業でも陳列するスペースを無限に持っているわけではないので、限られた面積の中でどの商品にどれくらいの陳列スペースを割くのかいつも頭を悩ませていると思います。そんなときにSKUを導入していれば、商品の総数がわかるため、商品を陳列する際の計画に役立ちます。また、いちばん売れている商品を最も目立つ場所に置くなど、陳列場所を決める際にも役立ちます。
商品のリニューアルやキャンペーン時に便利
商品のリニューアルや販促キャンペーンなどを実施する場合、SKUによる柔軟な対応ができます。たとえば、商品の新旧を区別して販売するとき、SKUに商品が発売された年数を設定しておけば、年数によって別商品として在庫管理を行うことができます。去年の商品だけ重点的に速く売り切りたいときに便利です。反対に新旧アイテムを区別することなく売り切りたい場合には、新旧アイテムを同一のSKUで管理。そうすることで在庫ロスを回避することができます。
このようにSKUを導入することで多くのメリットが享受できます。ただ、SKUのシステムは初期投資にそれなりの金額がかかるため、導入の際には自社の業務内容や規模、今後の展開などを熟考した上で、最適なシステムを選ぶようにしましょう。SKUのベンダーは導入実績を豊富に持っているところもありますので、納得いくまで相談して決めることが大切です。
世界共通で管理されているJANコードと違い、SKUは自社で自由に設定することができます。しかし、無計画にSKUコードを割り当てると、後から修正しなければならなくなることも。一貫性を持たせるために、商品カテゴリや色、サイズ、素材などを組み合わせたコードにするのがおすすめです。そのためには、最初に分かりやすく管理しやすいルールを設けるなどの工夫が必要。ここではSKUの設定方法(区別の仕方、考え方)について解説していきます。また、SKUの設定の際に気を付けなければ行けないポイントについてもあわせて紹介します。
商品名、ブランド名、等級が異なるケース
➡そもそも違う商品ならSKUも区別して考える
これは説明するまでもありませんが、商品名やブランド名、等級などが異なる場合は、別商品であるため、SKUも区別して設定しましょう。
商品の価格、種類が異なるケース
➡価格や色、サイズ、原材料が違う商品は区別する
こちらも説明するまでもありません。希望小売価格が異なる商品や、色やサイズが違う商品、また、原材料が異なる商品も区別して考えたほうがいいでしょう。
商品の正味量が異なるケース
➡同じ商品でも、100g入りと300g入りでは別のものとして考える
同じ商品でも内容量が異なる場合、内容量に応じて販売価格を変えるケースは多々あります。このような場合は、内容量ごとに別のSKUコードを設定することが基本。ただ、キャンペーンなどで内容量を増量するようなケースがある場合は、同一のSKUとして扱っても問題ありません(販売価格を変えない条件で)。
包装形態が異なるケース
➡袋詰めか箱詰めか、瓶詰かなど包装方法の違いがあれば別物として考える
包装形態が異なる場合は、別物として考えたほうが良いです。ただ、商品のパッケージデザインをリニューアルする場合は、在庫が少なければ同じSKUコードを付けても問題ありません。在庫数が少なければ、古いパッケージ商品から出荷できるためです。
販売単位が異なるケース
➡1本売りの飲料と1ケース売りの飲料では、中身が同じでも区別する
1本売りで売っていた飲料を1ケース売りにする場合は、中身が同じでも別のSKUを設定しましょう。別のSKUを設定しないと、誤発送が起きてしまうためです。1ケース10本セットの飲料を発注したのに1本しか届かなければ当然クレームに発展してしまいます。そのため、SKUコードには数量がわかるようにしておきましょう。
重複したSKUを設定しない
1つの品目に対し、1つのSKUコードを設定することが大前提です。異なる商品なのにSKUが重複していると、誤出荷の原因になり、混乱を招く恐れがあります。また、SKUの桁数は余裕をもって確保し、商品点数が増えても対応できるようにするのがポイントです。
商品区分別に番号を付けること
自社で共有できるわかりやすいルールがあると管理が楽になります。自社にとって重要な商品情報を3~5種類、番号の中に入れ込んでおきましょう。アパレル業界だと、番号だけで「コート」、「Tシャツ」と分かるように商品区分別に番号を決めておきます。このようにしておけば、販売データや在庫データをアイテム別に管理できます。さらに商品区分の番号を在庫管理するロケーション番号とリンクさせておけば、SKUを見るだけで在庫の場所がすぐに分かるため、出荷などの作業も楽になります。
数字とアルファベットを混ぜること
アルファベットを1文字以上入れておくことを管理が便利になります。Excelで管理する場合、12桁以上の数字は表示できません。その対策としてアルファベットを混ぜることで、この問題を回避できます。数字とアルファベットを使用することによって、情報の区切り位置の判断がつきやすくなるメリットもあります。
先頭に「0」を付けないこと
表計算ソフトが典型例であるように、先頭の0を省略して表示・認識するシステムが多いことから、SKUコードの先頭に数字の「0」を使用するのは避けたほうがいいでしょう。たとえば、2つの品目に「0123」と「123」をそれぞれ設定しても、システム上はどちらも「123」と認識されてしまうことがあります。「0」が付いているから異なる商品だと思っていても、システムは同一とみなすので、SKUが重複する事故につながります。
SKUを導入して在庫管理することは、物流業務の効率化、在庫数の最適化、顧客満足度向上などに貢献してくれます。自社の業務内容や規模、今後の展開に合った適切なSKUシステムを導入し、効果的に運用すれば、企業の競争力強化、収益向上を実現できる可能性があります。イニシャルコストなどの問題はありますが、将来的な発展を見据えれば、早めに導入して運用するのがおすすめです。
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