N-コラム

ピッキング作業とは?業務内容や種類、
倉庫環境改善のポイントを解説

物流業界で重要な作業となる「ピッキング作業」。
ここではピッキングがどんな作業なのか、その特徴や役割、種類、
効率よくピッキングする方法などについて、物流のプロが詳しく解説していきます。

ピッキング作業とは?ピッキング作業の基礎知識

ピッキング作業イメージ

 

ピッキング作業の説明をする前に、私たちがECサイトなどで注文した商品はどのような経緯で手元に届くのかを説明しましょう。顧客が商品を注文すると、その注文データが商品を保管・管理している倉庫に届きます。倉庫では注文データを元に指定の商品を探し出し、その商品に間違いや問題がないかを検品。その後、商品は梱包され、顧客の元に発送されます。

ピッキング作業とは、この一連の流れの中にある「商品を探し出す」ことを指します。多くの商品を速く、確実にピッキングすることがスムーズな配送につながります。

ちなみにピッキングとよく似たものに「仕分け作業」があります。仕分け作業は、倉庫に届いた荷物を分類することを指します。これによってどこに何があるのかがすぐ分かり、商品を探しやすくなります。顧客に配送する商品を探し出すのが、ピッキング。倉庫の届いた荷物を分類するのが仕分け。このように覚えておきましょう。

ピッキング作業の種類

ピッキング作業イラスト1

 

「ピッキングって商品を探して集めるだけでしょ?」そんな風に思っていませんか?

ピッキングは単純そうに見えて実は奥深い作業。やり方もひとつではありません。ここではピッキング方法(方式)の種類やそれぞれの長所・短所、どんな場合に適しているのかなどを解説していきます。

たとえば、こんな注文があったとしましょう。

●注文1

商品A×3個、商品B×5個

 

●注文2

商品A×2個、商品B×3個

シングルピッキング

注文ごとに商品を保管場所から取り出す方法(方式)です。商品棚からひとつずつ商品を取っていく姿が、畑に育った野菜や花を摘み取る様子に似ていることから「摘み取り方式」と呼ばれることもあります。

上記の例で言うと、注文1のピッキングをした後、次に注文2のピッキングを行います。シングルピッキング(摘み取り方式)は、商品の種類が少ない場合に適しており、急な注文があった場合でもすぐに対応できます。ただ、注文の数だけ倉庫内を歩き回ることになるので、注文数や商品の種類が多い場合は、移動や商品を探し出すのに時間がかかります。

トータルピッキング

複数の注文がある商品をあらかじめまとめてピッキングしておき、その後、発送先ごとに分ける方法(方式)。シングルピッキングとは逆の考え方です。発送先ごとに振り分ける作業が種をまいている姿に似ているので「種まき方式」とも呼ばれます。

上記の例で言うと、商品Aを5個、商品Bを8個ピッキングし、その後、注文1と注文2に商品を振り分けます。この方法(方式)は複数注文された商品をまとめてピッキングするため、倉庫内の移動時間を減らすことができます。そのため、トータルピッキング(種まき方式)は出荷件数が多い場合に向いています。ただピッキングした後、発送先ごとに振り分ける作業が発生するため、振り分け作業を行う手間がかかり、場所の確保も必要です。

マルチピッキング

マルチピッキングはシングルピッキングとトータルピッキングの良さを兼ね備えた方法(方式)で、複数の注文分をピッキングしつつ、同時に発送先ごとの振り分けも行います。

上記の例で言うと、あらかじめ注文1、注文2のダンボール箱を2つ用意し、必要な数量の商品AとBをそれぞれのダンボール箱に入れていきます。マルチピッキングは、ピッキングと発送先ごとの振り分けを同時に行うので、後から作業が発生することはありません。ただ、これらの作業を同時に行うのでミスが生じる恐れがあります。

ピッキング作業を効率よく行うためのコツやポイント

ピッキング作業イラスト2

 

ピッキング作業は速く、正確に商品を探し出し、次の検品や出荷の業務につなげるかがポイント。業務効率化のために誰でもできる簡単な作業にすることも大切なので、作業環境を整える工夫が必要です。ここでは作業者と作業環境の視点から効率よくピッキング作業を行うためのポイントを解説していきます。

作業者の工夫(コツ・ポイント)

ピッキング作業の効率化は、時短やミスを減らすだけでなく、作業をする人の負担軽減もつながります。作業者の仕事を効率化し、生産性の向上させるためには、何が必要でしょうか?そのポイントを紹介していきます。

●スピードアップ

作業ルートの工夫(動線の改善)

ピッキング作業のスピードを上げるためには、目的の商品がある場所までどのルートを通れば最も速くたどり着けるかを考えるのがポイント。動線を改善すれば、無駄な往復や遠回りを避けることができ、作業のスピードアップにつながります。

 

注文頻度に合わせた保管場所の工夫

定番商品で毎日一定数の注文があるものや、キャンペーンなどで一時的に大量の注文がある商品などは、作業者から近いところに保管場所を移動させるのがおすすめ。ピッキングにかかる時間を短縮できます。商品の保管場所が分かりやすいように商品の種類によって棚の色や目印を変えるなどの工夫も有効です。

●正確性の向上

チェック体制の見直し

注文の内容とピッキングした商品が合っているかを確認するためには、作業者ひとりの力に頼らず、複数でチェックすることが大切。ダブルチェック、トリプルチェックができる体制を整えるなど、ヒューマンエラーを見逃さない仕組みづくりを構築しましょう。

 

作業の手順を明確にして周知させる

誰でも質の高い同じ作業ができるように、標準作業マニュアルを作成。ピッキングの手順やチェック方法、注意点などを明文化し、作業者全員に周知させます。これによって作業者の仕事を平準化でき、誰でも同質のピッキング作業ができるようになります。

作業環境の工夫(コツ・ポイント)

作業者による工夫のほか「マテハン(マテリアルハンドリング)」と呼ばれる保管機器や道具を導入することも、作業者の負担を減らし、効率の効率化につながります。「マテハン機器があると便利だけど、揃えると高額になるのがなぁ……」とお悩みの方は、レンタルやリースを利用してみてはいかがでしょうか? マテハンのリースを専門に行っている企業には、大物から小物までバラエティ豊富な機器が揃っています。リースを活用して賢く作業環境の充実化を図りましょう。

 

搬送機器

カゴ車やパレットからオリコン(折り畳みできるコンテナ)、コンベアなど商品を移動させるのに便利。ピッキング作業のスピードアップと作業者の負担軽減を同時に実現できます。

 

保管機器

ネスティングラックと呼ばれる保管機器は、さまざまな形状があり、倉庫や保管する商品の大きさによってサイズを選ぶことができます。連結や増設も簡単にできるので、取扱商品が増えても安心です。

 

作業機器

パレットごと持ち上げて人力で移動させられるハンドリフトや、一度に複数の商品をピッキングするときに便利なカートはピッキング作業に必須。作業者の負担を大幅に軽減できます。

 

快適機器

広い倉庫は夏や冬に快適な温度を維持するのが難しいもの。そこで扇風機やヒーター、スポットクーラーなど作業者が作業する範囲だけを快適するものも有効。作業環境を快適にすることで、作業員のミス軽減にも役立ちます。

まとめ

ピッキングは商品を探し出し、集めるというシンプルな作業ですが、シンプルだからこそ効率化を追求するのが難しい作業でもあります。効率が悪いと後工程である検品や梱包に時間がかかり、結果的に顧客への発送が遅れてしまいます。さらに「注文と違う商品が届いた」、「商品が壊れていた」という事態になれば、顧客満足度の低下や余計なコストがかかる恐れもあります。

ピッキングは人が作業している以上、どうしてもヒューマンエラーが付いて回ります。そのミスを少しでも軽減するためには、作業者の意識向上のほか、作業環境を整えることが重要。倉庫で使うマテハン機器は手軽にレンタルやリースができるので、積極的に利用し、ピッキングクオリティを上げていきましょう。

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よくある質問

ピッキング作業とは?どんな作業?
ピッキングとは、注文の入った商品を倉庫から探し出して集める作業のことです。ECサイトなどで商品を購入すると、一般的に「注文→ピッキング→検品→梱包→出荷」という工程を経て私たちの手元に商品が届きます。ピッキングはその流れの中で商品を速く、正確に探し出すことが求められます。
ピッキング作業にはどんな種類があるの?
大まかに分類すると3種類あります。注文ごとに商品を保管場所から取り出す「シングルピッキング(摘み取り方式)」、複数の注文がある商品をあらかじめまとめてピッキングしておき、その後、発送先ごとに分ける「トータルピッキング(種まき方式)」、複数の注文分をピッキングしつつ、同時に発送先ごとの振り分ける「マルチピッキング」です。それぞれ長所と短所があり、注文の量や倉庫の広さなどによって使い分けることが重要です。
ピッキング作業をスピーディーに行うにはどうすればよい?
作業をスピーディーに行うことは、ムダを省くということです。作業をする人がムダのない動きができること。そのムダのない動きを支える作業環境を整えることが大切です。具体的には作業者が商品をピッキングするために、最短ルートで行けるようにすることや、頻繁に注文が入る商品を作業者に近い場所に保管することなどです。
ピッキング作業に最適な作業環境は?
マテハン機器(マテリアル・ハンドリング)を導入すると、ピッキング作業を効率化できるだけでなく、作業者の負担を軽減できる可能性があります。マテハンには搬送機器、保管機器、作業機器など、さまざまな種類があります。レンタルやリースもあるので、物流を得意とするリース会社に相談してみるのが近道です。
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