Nコラム
バンニングとは、輸出する貨物を倉庫などからコンテナに積み込む作業のことを指す物流用語です。英語で書くと「Vanning」。「van」には「貨物をコンテナに積み込む」という意味があるので、それが動名詞化したものと考えてください。
バンニングをするのは、主に海運業者や倉庫業者で、担当の作業者が人の手もしくはフォークリフトを使ってコンテナの中に貨物を積み込みます。現場ではバンニングの他にも単に「バン」と呼んだり「バン詰め」と言ったりします。海外ではバンニングのことを「Loading(ローディング)」、「Stuffing(スタッフィング)」と呼ぶ場合もあるので、これらの用語も併せて覚えておきましょう。
バンニングは貨物を積み込む作業のことを指す用語ですが、輸出先でコンテナに入っている貨物を取り出す作業のことを指す用語は何でしょうか? 答えは「デバンニング」。英語の接頭語「de」は「下降」、「分離」、「低下」などを指し、バンニングと対義的な意味を持っています。貨物を取り出す作業は、積み込む作業の反対なので「デバンニング」と呼びます。
バンニング作業をするためにはコンテナが必要ですが、コンテナにはどのような種類やサイズがあるのでしょうか。また、コンテナに積み込まれるのはどんな貨物なのでしょうか。それらについて詳しく解説していきます。
ドライコンテナ
工業製品や日用品など、一般的な貨物を常温で輸送するコンテナで、最も普及しているタイプです。積み込まれる貨物には電化製品、自動車部品、コーヒー、たばこ、ワインなど多岐にわたります。
リーファーコンテナ
冷凍機が内蔵されたコンテナで、温度管理に敏感な生鮮食品(肉、魚介類、果物、野菜など)、薬品、美術品、精密機械などを輸送する際に使用します。一般的にコンテナ内部は-25~25℃まで温度調整が可能です。
オープントップコンテナ
コンテナの屋根部分がないもの、もしくは部分的に屋根を開くことができるタイプです。コンテナサイズを超える大型の機械や背の高い貨物、コンテナのドアから出し入れしにくいものなどを輸送するときに使われます。
フラットラックコンテナ
屋根のないオープントップコンテナからさらに側面の壁も取り払ったタイプ(開閉できるタイプもあり)。こちらもコンテナサイズの高さ、幅を超える大型の貨物を輸送するときに利用されます。ただ、コンテナの幅から貨物がはみ出すと、その両側に別のコンテナが置けないため、割増運賃を適用されることがあります。
タンクコンテナ
液体貨物を輸送するためのコンテナです。タンクを頑丈な鋼製フレームで覆った構造になっており、液体の化学薬品、酒、醤油、食用油などを運ぶときに使われます。
コンテナのサイズはISO(国際標準化機構)によって規格が統一されています。現在、最も流通しているのは20フィートコンテナ(長さ約6m)と40フィートコンテナ(長さ約12m)。それらに加え、40フィートコンテナの高さが1フィート(約30cm)高くなった40フィートハイキューブコンテナが多く見られます。10フィートコンテナ(長さ約3m)もありますが、最近はあまり見かけなくなりました。
2021年の財務省の調査によると、日本から海外に輸出される品目の上位を占めるのは自動車。しかし、自動車は専用のカーフェリーで輸送されるため、バンニングはしません。自動車とともに多いのが、半導体等製造装置、原動機などの一般機械やプラスチック、科学光学機器など。反対にデバンニングされる貨物としては医薬品、半導体等電子部品、通信機、衣類などが上位を占めています。
バンニングは、コンテナに貨物を積み込むだけなので、単純作業だと思われがちですが、実際は簡単ではありません。積み込む貨物は大きさ、形状がまちまちな場合は、貨物の組み合わせや積み込む順番などを考慮しながら、効率よく作業しなければなりません。コンテナ内の貨物をしっかりと固定し、海上が荒れても荷崩れしないようにしたり、輸出先でデバンニングしやすくしたりする配慮も必要です。ここではバンニング作業のポイントについて紹介します。
コンテナ輸送のメリットは重い荷物を運びやすい、紛失・盗難が少ないなどの特長がありますが、最大のメリットはコストが安いこと。コンテナは空荷で輸送しても、いっぱいに貨物を詰め込んでも費用は同じ。そのため、一度に多くの貨物を運べるよう効率よく積み込むテクニックが求められます。
海上輸送においては、海が荒れることで船が揺すられ、コンテナ内の貨物が荷崩れしてしまう可能性があります。そのため、コンテナ内の貨物を確実に固定しておくことが必要。固定方法には木材の端材や角材を使って貨物が載っているパレットを固定する「ショアリング」、ワイヤーやヒモ、ベルトなどで貨物を固定する「ラッシング」があります。
輸出先でデバンニングしやすくするためには、まず先述した貨物の固定が最も重要です。海が荒れてコンテナ内の貨物が荷崩れすると、貨物が損傷してしまうばかりか、貨物が取り出しにくくなります。さらにデバンニング作業中に貨物が崩れて作業者に当たってしまう可能性もあるので注意が必要です。その他にも貨物を積み込む前にコンテナ内の清掃をすることや、穴などが空いてないか破損のチェックをすることも大切です。
バンニングスロープは、コンテナ内の貨物を直接フォークリフトでバンニング/デバンニングするために使用するスロープです。バンスロープ、バンステージ、コンテナスロープ、昇降スロープなどと呼ばれることもあります。バンニングスロープを使えば、プラットホームがなくてもスムーズに貨物の積み下ろしができます。
バンニングはただ単にコンテナ内に貨物を積み込めばいいわけではなく、効率的かつデバンニングのことも考えた配慮が必要です。これらの作業は自動化されているわけではなく、人が行うため、さまざまな課題が挙げられています。改善すべきバンニングの課題について解説します。
バンニングはコンテナに貨物を積み込む実作業だけでなく、積み込んだ貨物の内容を記録し、発送報告を行うなど、事務的な手続きも付帯します。作業に間違いがないかをチェックシートで確認しながら行うため、どうしても時間がかかってしまいます。
バンニングは倉庫のような屋内よりも屋外での作業が多く、夏は暑く、冬は寒い過酷な労働環境を強いられます。近年は特に労働者不足が深刻であることから、一人当たりの作業量が必然的に増えてしまう傾向にあります。
過酷な労働環境に起因して、人的なミスも発生します。特に手作業でバンニングする場合は貨物を運ぶ際に落としてしまったり、コンテナにぶつけたりして破損させてしまう可能性があります。積み込む前から貨物が破損していたとしても、作業者の責任にさせられるリスクも生じます。
バンニングが抱える課題については、多くの企業がその課題を認識し、解決策を講じています。課題解決を早期に実現しなければ、過酷な労働環境からバンニング作業者は減少する一方でしょう。労働環境を改善するためには、どうすればいいのか? その対策方法を紹介します。
人が手作業で行う仕事をロボット等にやってもらい、作業を自動化することが重要です。現場では自動化が行われ始めているものの、まだまだ進んではいません。原因は費用対効果が見込めないからでしょう。それであれば、比較的導入コストを抑えられるマテハン機器を取り入れてみてはいかがでしょうか? 荷物をチェックする作業をバーコード化、二次元コード化したり、仕分け先の情報をデジタル化したりするなど、時短やミスを防ぐ方法を検討してみるとよいでしょう。
作業記録を残すことは、作業者を守ることにつながります。たとえば、ひとつのバンニング作業に対し、いつ、どこで、誰が、どのような作業を行ったのかをスマートフォンやタブレットのカメラで撮影すれば、作業の記録になります。同時に貨物の写真も撮れば、バンニング作業で貨物を破損させていない証拠になるはず。作業と記録を同時に行い、デジタルデータにすれば、ペーパーレスで報告書を作成することも可能です。
インターネットの環境が整った現代では、ネットショッピングでクリックするだけで商品が購入でき、国内だけでなく、海外からも簡単に商品が届くようになりました。しかし、商品を購入した会社から自宅まで無事に荷物が届くのは、その間に多くの人の手が関わり、確実な作業をしてくれているから。バンニング作業者がいるからこそ、自分の欲しかったものが海外からでも安全に届くのです。時には自分が手にした商品がどのような経緯で届いたのか、想像してみてください。
日建リース工業は、バンニングやデバンニングの作業を軽減・効率化する幅広い物流機器をレンタル(リース)しています。必要なものを、必要な時に、必要な数だけ。全国130箇所に広がるネットワークで物流現場をサポートします。物流機器のレンタルだけでなく、物流システムや仕組みづくりも得意としています。日建は物流分野全般をサポートする総合企業。見積依頼も無料でできるので、物流関係に携わる方はぜひ覗いてみてください。
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