Nコラム

介護保険では、住宅改修の補助が出ますが、補助を受けるためには条件や基準額を知っておく必要があります。ここでは「条件」、「基準額」、「例外」について解説していきます。
基本的には
・要支援1~2、要介護1~5の認定を受けていること
・自宅(住民票のある住所)に実際に住んでいること
が補助の条件です。あわせて、制度の趣旨として住宅改修は在宅介護を支える給付です。厚労省資料でも「在宅介護を重視」する観点が明記されています。
基本的な考え方として
・支給限度基準額は20万円(生涯)
・要支援・要介護区分にかかわらず定額
・限度額内なら、1回で使い切らなくても複数回に分けて使える(例:最初に8万円、次に12万円)
の3つです。さらに自己負担の割合は所得に応じて
・1割負担(保険給付9割)
・2割負担(保険給付8割)
・3割負担(保険給付7割)
となります。たとえば、20万円の工事をした場合、
・1割負担 → 自己負担 2万円(給付18万円)
・2割負担 → 自己負担 4万円(給付16万円)
・3割負担 → 自己負担 6万円(給付14万円)
となり、20万円を超えた部分は全額自己負担です。
例外ケース
よく「20万円の枠がリセットされる」と言われますが、制度上は「再度20万円までの支給限度基準額が設定される」という扱いです。たとえば、引っ越しをした場合、新しい住宅は再度20万円までの住宅改修費の対象になります。また、要介護状態区分が3段階以上上がった場合も、再度20万円までの限度額が設定されます。

介護保険が適用される住宅改修のための工事は、①手すりの取付け ②段差の解消 ③床・通路面の材料変更(滑り防止など) ④引き戸等への扉の取替え ⑤洋式便器等への便器の取替え ⑥これらに付帯して必要な工事の全6種です。では、これらを家の各場所に当てはめると、どのような部分になるのでしょうか。具体的に解説します。
玄関まわりは段差でつまずくことが多く、外に出るのを不安にさせる要素が多い場所です。玄関の上がり框の横に縦手すりを付ければ、靴の脱ぎ履き時に掴まることができます。また、玄関の段差を小さくするための固定スロープを付ければ、車いすや歩行器での出入りがしやすくなります。ちなみに玄関から道路までの通路や敷地内の外階段なども、条件を満たせば対象になり得ます。
夜間トイレや朝の起き上がり時に転倒しやすい、家の中の移動ルートが廊下です。そのため、廊下に横手すりを設置すれば、歩行時のふらつきを防止できます。廊下から居室に入るときの敷居を低く(もしくは撤去)すれば、つまずき防止にも役立ちます。居室内が畳の場合は、フローリングやビニール系の床材に変更することで、車いすや歩行器での移動が楽になります。
トイレは「立つ・座る・向きを変える」という動作が集中するため、住宅改修のニーズが高い場所です。便器横や出入口付近の手すりは、立ち座りや移動を補助してくれます。トイレの開き戸を引き戸や折り戸に変更すれば、出入りがしやすくなるだけでなく、介助者の介助スペースを確保することにも役立ちます。その他にも和式便器を洋式便器へ、握り玉タイプのドアノブをレバー式へ変更するのもおすすめです。
浴室は滑りやすく、段差もあり、転倒リスクが高い場所です。まずは浴室の出入口や浴槽まわりに手すりを設置したいもの。浴室入口の段差を小さくし、浴室の床を滑りにくい床材へ変更するのが良案。また、入浴動作がしやすいように、浴槽をまたぎやすいタイプ(段差解消の考え方として)に変えるのも良いでしょう。
「ドアが重い」、「開く方向が体に合わない」、「歩行器だと通りにくい」など、出入口の困りごとは多々あります。開き戸を引き戸や折り戸に変更したり、場所によっては思い切って扉自体を撤去したりするのも良いでしょう。扉改修に伴う壁や柱の改修も付帯工事として給付対象となります。

介護保険による住宅改修で最も避けたいのは「給付金がもらえない」ということ。住宅改修をするための申請フローを解説していきますので、それに沿って住宅改修を進めてください。
最も注意してほしいのは、住宅改修は「工事前の事前申請」が必須だということです。自治体の案内でも、改修前の事前申請がない場合は支給できないと明記されています。また、厚労省の通知でも「被保険者は住宅改修を行う前に申請書類の一部を市町村へ提出し、市町村が保険給付として適当かどうかを事前確認する」という運用が示されています。
※厚生労働省「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」
また、住宅改修は、単なるリフォームではなく、介護保険の給付要件に合う形で設計・申請する必要があるため、ケアマネジャーへの相談が必須です。
①相談
住宅改修の必要性を感じたら、まず担当のケアマネジャーに相談してください。要支援の方は地域包括支援センターと市区町村の介護保険窓口を訪問し、どの場所で困っているのか、どんな動作が危険なのかなどを伝え、アドバイスをもらってください。
②工事前の事前申請
工事を始める前に、市区町村へ下記の書類を提出します。
一般的に必要になるもの(自治体差あり)
・申請書
・住宅改修が必要な理由書
・見積書
・図面
・改修前の写真(日付入り)
・所有者承諾書 など
③工事
市区町村の確認・承認(または事前協議終了)後に工事へ進みます。ただし事前申請の内容から変更が出る場合は、勝手に進めずその都度、相談してください。また、改修前と改修後の写真撮影もお忘れなく!
④支払い
工事完了後に支払いを行います。自治体によって「償還払い(いったん全額支払ってから後で給付)」か「受領委任払い(自己負担分のみ支払い)」といった支払い方式に差があるため、要確認です。
⑤支給申請
工事完了後に、領収書や改修後写真などを添えて支給申請をします。その後、市区町村の審査を経て、認められれば住宅改修費が支給されます。

すべてを住宅改修(工事)で解決しようとすると20万円の枠をすぐに使い切ってしまいます。工事が適している場所と、レンタルの方が便利な場所を分担して考え、20万円を効果的に使うことが重要です。
住宅改修(固定)を優先すべき場所
家の構造そのものに危険性があり、使いにくい場所、今後も長く使う見込みの高い場所は、工事をしたほうがいいです。たとえば、玄関まわりであれば、上がり框の段差解消や固定手すり、固定スロープなどがそれに当たります。トイレであれば、和式から洋式便器への変更、浴室であれば、浴室入口の段差解消、滑りにくい床材への変更といった具合です。
レンタル(可動)を優先すべき場所
レンタルが向いているのは、身体状況で必要性が変わりやすい場所、まず使い心地を試してから決めたい場所、置くだけや取り外しで対応できる場所といった観点で判断してください。たとえば、歩行器、歩行補助杖、置き型の手すり、浴室用すのこなどがその対象品です。特に歩行器は使いやすくないと利用者が使ってくれないため、レンタルしたほうが賢明です。
住宅改修は、あとから外しにくく、やり直しにくい工事に使うのが基本です。20万円の枠は「いざというときの工事」のために温存し、手すりなどはレンタルを活用するという考え方もおすすめです。

福祉用具レンタルのメリットは、工事不要で導入しやすい置き型手すりや可搬型スロープなどを活用しながら、住宅改修の20万円枠を温存できる点にあります。福祉用具のレンタルで代表的なものは、工事不要で設置できる「置き型手すり」や「段差解消スロープ」です。これらは壁や床に工事で固定しないため、比較的短期間で導入しやすく、身体状況や生活動線の変化に合わせて位置調整・撤去がしやすいのが大きなメリットです。
さらに福祉用具のプロによる選定・設置・調整・モニタリングまで含めたサポートを受けられるため、利用者の身体状況や住環境の変化に合わせて、無理のない住環境整備を進めやすくなります。
介護保険の住宅改修を考えるとき、つい「できるだけ工事で全部解決したい」と思いがちです。しかし、そこが失敗しやすいポイントでもあります。大切なのは「固定したほうが安全な場所は住宅改修」、「変化に合わせたい場所はレンタル」といった具合に、賢く組み合わせることです。
この考え方は、本人の安全だけでなく、介助する家族の負担軽減にもつながります。結果として、家族全員が安心して暮らせる住まいに近づきます。
そして何より大事なのは、一人で判断しないこと。介護保険の住宅改修は「事前申請」が必要で、制度の対象かどうかの見極めも重要です。まずはケアマネジャーや市区町村窓口、福祉用具の専門スタッフに相談してください。プロに相談することが、遠回りに見えて一番確実な近道ですよ!
日建リース工業は、介護現場に必要な介護用品・福祉用具を豊富に取り扱っており、ご利用者はもちろん、ご家族の方々にも喜んでいただけるケアレンタルサービスを提供しています。置き型の手すりやスロープなど、レンタルに適したものを多数取り揃えているほか、専門知識を持った担当が多数在籍。一人ひとりが福祉用具貸与事業者様、ケアマネジャー様への的確なアドバイスを行えるよう、日々知識の習得と向上に努めています。見積依頼も無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。