Nコラム
「デバンニング(Devanning)」とは、コンテナから貨物を取り出す作業のことを指します。「vanning」には「貨物をコンテナに積み込むこと」という意味があり、接頭語「de」が付くことで対義語になります。一般的には荷主または代理人が直接行う場合と、委託を受けた物流事業者が行う場合があります。
デバンニングは、貨物をパレット(フォークリフトなどで貨物を運ぶための台)に積んでから移動させることが一般的です。フォークリフトを使ってコンテナから貨物を降ろすだけなら、簡単だと思われるかもしれません。しかし、デバンニングは言葉で表現する以上に気を遣わなければならないシーンや多くの課題があります。
デバンニングは貨物を積み降ろす作業のことをいいますが、反対に貨物を輸出するときに倉庫などからコンテナに積み込む作業のことを「バンニング」といいます。バンニングをすれば、必ずデバンニングが発生します。バンニングとデバンニングは対になって使われることが多いことを覚えておきましょう。
デバンニング作業を行うためには、正しい手順を踏まえることが大切。ここではコンテナ到着前からデバンニング終了までの作業工程について説明していきます。
①デバンニングのための環境を整える
最初にするのは、作業の安全と効率を確保するために環境を整えること。貨物を降ろすフォークリフトや台車など、必要なものをあらかじめ揃えておきます。
コンテナが到着したら、コンテナシールという金属製の封印がしっかりされているかを確認します。
封印が閉じられているのを確認したら、専用の器具で切断し、コンテナを開けます。
コンテナを開けたら、貨物の状態を確認します。
貨物の状態に問題がなければ、荷降ろしを行います。取り出した貨物はパレットや台車に載せ、所定の場所まで運びます。
荷降ろしが終わったらコンテナ内を清掃し、扉を閉めます。
前項で挙げた手順について、それぞれの作業時に注意すべき点について解説をします。荷主の大切な貨物を破損させることなく、安全に積み降ろすためのポイントを確認してください。
デバンニングはトレーラーの上にあるコンテナから行うことが多いため、コンテナと地面との段差を埋めるスロープなどを用意しておくと安全に作業ができます。
封印に書かれている番号およびコンテナ番号が入庫予定のものに間違いないか確認。万が一、封印が開けられていれば、盗難などの可能性があるので注意が必要です。
コンテナを開ける際は勢いをつけて開けないこと。貨物が扉側に倒れてきている場合があるため非常に危険です。コンテナを開ける際はゆっくりと、片側ずつ開けていくのが基本です。
貨物に目立った汚れやキズがないかを確認。特に最下段は水濡れやカビが発生している場合があるので気を付けましょう。万一、貨物に異常があれば、その部分を撮影し、速やかに輸送業者や仕入れ先に連絡してください。
一般的には複数の作業員で、手作業かフォークリフトなどを使用して貨物をコンテナから取り出しますが、その前に作業の役割を決め、積み降ろし作業の際の注意点を共有します。その後、パレタイズの方法を確認し、パレットの1面に貨物をいくつ置くのかを決めます。
荷降ろしが完了したらコンテナ内の清掃。コンテナは繰り返し使用されるため、次の方のためにきれいにしておきましょう。中に何も入っていないことを確認したら扉を閉めます。
日本は貿易大国であり、日々たくさんの貨物が日本各地の港にやってきます。輸出入の機会が増えれば増えるほど、デバンニングの機会も増えていきますが、デバンニングには「過酷な作業環境」、「作業時間の制限」、「事故の発生」といった大きな課題があることを忘れてはいけません。現在、デバンニングが抱える課題を説明します。
デバンニングの主な作業場所はコンテナの中。そのため、夏場はコンテナ内の温度が50℃以上になることもあり、作業員が熱中症になる恐れがあります。
デバンニングの作業時間は契約で決められており、一般的に2時間以内という時間制限が敷かれている場合が多いです。契約の時間が過ぎてしまうと契約違反となり、遅延金を支払わなくてはなりません。かといって急いで作業をすると、貨物を破損させてしまったり、思わぬ事故を起こしたりする可能性もあります。
デバンニングでは、大量の貨物や重い貨物を扱います。荷物と作業員の間に段差があり、足場が不安定な状態で作業をしなければならない場合もあります。さらに上記の状況で作業をしなければいけないこともあり、事故が起こる可能性が高いです。また、作業中に荷崩れが起きたり、手を滑らせて貨物を落としてしまうことで、貨物の破損事故の恐れもあります。
デバンニング作業を安全に、かつ効率的に行うために重要なポイントを解説していきます。これらのポイントをおさえることで、質の高いデバンニング作業ができるようにしましょう。
デバンニングは、トラックやトレーラーの上にあるコンテナから行う場合が多いです。そのためにコンテナと作業場との間の高低差をなくすことが、作業のしやすい環境づくりの第一歩となります。段差がある状態で貨物を作業場に降ろそうとすると、段差の上下で貨物をやりとりする負担が大きく、貨物や作業員が落下する危険性もあります。そのため、スロープなどを設置して、貨物の移動を平面上で行えるようにするのがポイントです。段差がなければフォークリフトがコンテナ内まで入ることができ、手作業の場合でも作業員の負担が軽くなります。
デバンニング作業には、適切な人数の作業員を確保することが大切。少ない人数で作業すると、時間超過になったり、ミスやケガの予防に配慮する余裕がなくなったりする可能性があるからです。荷物を手作業でデバンニングする際、特殊な作業がない場合は2~3人、貨物の種類が多く、検品作業もある場合は4~5人が適切です。ただ、作業員が多ければ多いほど良いわけではありません。作業員を5人以上にしても、作業の流れに渋滞が生じて効率が落ちるからです。
作業員が荷物を落としたり、何らかの衝撃で荷物が落下してしまったりするミスが日常的に発生していれば、物流現場やオペレーションが適正ではない可能性があります。このような人為的ミスは、作業環境の見直しやオペレーションの改善で解決できる場合が多いです。たとえば、整理整頓や清掃などを行い、動線になる場所に荷物を置かない、荷崩れ防止・落下防止アイテムを活用するなど、貨物破損につながる原因を洗い出し、改善していくことがポイントです。
貨物の破損の原因として多く挙げられるのが、フォークリフトの操作ミス。このようなミスを防ぐため、新人、ベテラン問わず、定期的に作業員のスキルアップ研修を行うのが良いでしょう。運用マニュアルや運用ルールに関しても、人によって作業のやり方や認識にばらつきが生じてしまうため、スキルアップ研修と同様に定期的な周知が必要です。
デバンニングは商品の輸入や仕入れには欠かせない作業ですが、作業負荷が大きいことや作業員のケガ、商品破損などといったリスクが伴います。このような労働環境のため、人材が定着しないといった課題もありますが、さまざまな改善策を取ることで、効率が良く質の高いデバンニング作業を行うことも可能です。今回の記事を参考にして、より良いデバンニング作業ができるよう工夫してみましょう。
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