Nコラム
老人ホームなどの高齢者施設へ入居せずに在宅で介護を受けることを指します。これまで人生を送ってきた家や地域で暮らすことは、本人の精神面やQOL(人生の質)から見て好ましいですが、共に暮らしながら介護をする家族にとっては負担が大きくなります。
在宅介護には、メリットとデメリットがあります。どのような面で有利なのか、不利なのかをしっかり把握しておきましょう。
・住み慣れた家や地域で暮らすことで、要介護者の精神的な負担を低減できる
・要介護者と介護者が同じ場所で生活しているため、要介護者の体調変化に気付きやすい
・施設に入居するより、介護のランニングコストを大きく抑えられる(在宅介護の月額費用は平均9.0万円※)
・さまざまな介護サービスの中から必要なものだけを選んで利用できるため、自由度が高い
※公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」より
・精神的負担:認知症患者の介護は、暴言や妄想、徘徊などに悩まされ、精神的な負担が大きい
・身体的負担:移動介助、着脱介助、車いすへの移動介助など、介護者に肉体的な負担がかかる
・時間的負担:介護のために仕事に集中できないなど、介護者の時間が制約されることがある
・移動の制限:要介護者を一人にできないので、常に目の届く距離にいなければならず、介護者の移動が制限される
・費用的負担:介護のランニングコストが大きい
在宅介護は要介護にとってメリットはあるものの、介護者には精神的・肉体的・費用面などの負担がかかります。介護は長く要介護者の世話をしていくこともあります。そのため、少しでも負担を減らすために外部の介護サービス(訪問型・通所型・宿泊型)を積極的に利用していくことをおすすめします。
在宅で介護サービスを利用したいとき、どのような手続きをすればいいのでしょうか。介護サービスを利用できるようになるまでの主な流れを説明します。
在宅介護を検討し始めたら、まずは地域の地域包括支援センターや市区町村の高齢者福祉窓口に相談してみましょう。
介護を受ける人の居住地の市区町村にある高齢者福祉窓口、または地域包括支援センターに申請を行います。
市区町村の職員や委託を受けたケアマネジャーなどが自宅を訪問。本人の心身の状態や日常生活の様子などについて聞き取り調査を行います。併せて、かかりつけ医が主治医意見書を作成します。
聞き取り調査の結果とかかりつけ医の意見書をもとに、要介護度が判定されます。
判定結果が出たら、ケアマネジャーが利用者本人や家族と相談しながら、介護サービスの利用計画書(ケアプラン)を作成します。ケアプランに基づいたサービスを利用開始します。
在宅介護で利用できるサービスは多岐にわたります。ここでは主なサービスを種類別に解説します。
訪問型サービス:介護される利用者の居宅にヘルパーや介護士、看護師などの専門職が訪れて行うサービスです。
訪問介護
ホームヘルプサービスとも言われ、在宅介護の中心的なサービスです。食事、入浴、排せつ、衣服の着脱などの身体的な介護や生活援助を行います。
自宅のお風呂に入れなくなった人向けに、介護職員が専用のお風呂を持ち込んで入浴をサポートします。
看護師が訪問し、体調管理をします。血圧測定などを行い、身体の状態を判断。必要であれば点滴なども行います。
医師や看護師、薬剤師などの医療従事者が訪問し、療養上の管理指導を行います。ケアマネジャーに対して、ケアプランの作成に必要な情報提供も行います。
リハビリテーション施設への通所が難しい人向け。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問し、心身の機能の維持や回復、日常生活の自立を支援するためにリハビリテーションを実施します。
通所型サービス:介護施設に利用者が日帰りで通い、介護を受けるサービスです。
通所介護(デイサービス)
デイサービスセンターなどの施設に日帰りで通い、介護やレクリエーションなどのサービスを受けます。本格的な介護というより、QOL(生活の質)の向上を目指すことが目的です。
通所リハビリテーション(デイケア)
主治医が決めた介護要人保健施設などに通って、リハビリのサービスを受けます。通所介護(デイサービス)よりも医療的なケアを目的とし、施設には理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師などがいます。
宿泊型サービス:介護施設に利用者が宿泊している間に介護を受けるサービスです。
短期入所生活介護(ショートステイ)
介護施設に短期間宿泊して介護を受けるサービスです。1日から利用でき、必要なサービスをピンポイントで受けることができます。介護者が一時的に介護から離れる際や、冠婚葬祭などの際に利用できます。
在宅介護は、介護者の精神的・肉体的な負担が大きくなることも事実です。介護者が仕事と両立できない、認知症による徘徊で困っているなど、在宅介護でぶつかる壁と、その解決策となるサービスを紹介します。
身体的負担
課題:移動介助、入浴介助などによる身体的な負担。
解決策:訪問介護サービスを利用し専門家による介助を受ける。また、福祉用具(レンタル可能)を活用することで、介護者の負担を軽減できます。
精神的負担
課題:認知症の症状(徘徊、暴言など)による精神的な負担や孤独感。
解決策:認知症対応型通所介護サービスを利用したり、地域包括支援センターに相談したりして専門的なアドバイスを受ける。
仕事との両立
課題:常に介護が必要で、仕事の継続が難しい。
解決策:短期入所生活介護(ショートステイ)などを活用し、介護者が一時的に介護から離れる時間をつくる。
在宅介護は、要介護者と介護者がともに安心した生活を送るための大切な選択肢です。在宅介護を無理なく行うためには、ケアマネジャーとともに利用者の状態や介護者の状況に合わせた介護サービスを相談しながら、適切に組み合わせて利用することが重要です。在宅介護の長期化や在宅介護が困難になったときに備え、介護施設や民間の老人ホームなどに入所・入居する選択肢も視野に入れおくとよいでしょう。
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