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在宅介護とは何か? 在宅で介護をする際に利用できるサービスやメリット・デメリットを知っておこう

在宅介護は介護を受ける側に利点があるものの、介護者には大きな負担がかかります。在宅介護で利用できるサービスなどを知り、それらを積極的に活用すれば、介護者の負担軽減につながります。ここではそんな在宅介護をする際に重要なポイントをお伝えます。

在宅介護とは?

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老人ホームなどの高齢者施設へ入居せずに在宅で介護を受けることを指します。これまで人生を送ってきた家や地域で暮らすことは、本人の精神面やQOL(人生の質)から見て好ましいですが、共に暮らしながら介護をする家族にとっては負担が大きくなります。

 

 

在宅介護のメリット・デメリット

 

在宅介護には、メリットとデメリットがあります。どのような面で有利なのか、不利なのかをしっかり把握しておきましょう。

 

在宅介護のメリット

・住み慣れた家や地域で暮らすことで、要介護者の精神的な負担を低減できる

・要介護者と介護者が同じ場所で生活しているため、要介護者の体調変化に気付きやすい

・施設に入居するより、介護のランニングコストを大きく抑えられる(月額費用は平均8.3万円※)

・さまざまな介護サービスの中から必要なものだけを選んで利用できるため、自由度が高い

※公益財団法人生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査 令和3年」より

 

在宅介護のデメリット

・介護のために仕事に集中できないなど、介護者の時間が制約される

・要介護者を一人にできないので、常に目の届く距離にいなければならず、介護者の移動が制限される

・移動介助、着脱介助、車いすへの移動介助など、介護者に肉体的な負担がかかる

・認知症患者の介護は、暴言や妄想、徘徊などに悩まされ、精神的な負担が大きい

・介護のランニングコストが大きい

 

 

在宅介護は要介護にとってメリットはあるものの、介護者には精神的・肉体的・費用面で負担がかかります。介護は長く要介護者の世話をしていくこともあります。そのため、少しでも負担を減らすために外部の介護サービス(訪問型・通所型・宿泊型)を積極的に利用していくことをおすすめします。

 

 

在宅介護で利用できるサービス(訪問型)

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在宅介護で利用できるサービスのひとつに「訪問型サービス」があります。訪問型とは、介護される利用者の自宅(居宅)にヘルパーや介護士、看護師など、介護や医療専門職が訪れて行うサービスです。訪問型サービスの種類と特徴を解説します。

 

訪問介護

ホームヘルプサービスとも言われ、在宅介護の中心的なサービスです。食事、入浴、排せつ、衣服の着脱などの身体的な介護を行います。訪問介護員(ホームヘルパー)が介護をしやすいように介護用ベッドなどを用意しておくのがおすすめです。費用が気になる方はレンタルという方法もあるので、検討してみてはいかがでしょうか。このサービスは要介護1~5の人が利用できます。

訪問入浴介護

介護用のお風呂を持って介護職員が訪問します。このサービスを使えば、自宅のお風呂に入浴できなくなっても、定期的に入浴することができます。要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

訪問看護

看護師が訪問し、体調管理をします。血圧測定などを行い、身体の状態を判断。必要であれば点滴なども行います。基本的には決まった曜日に定期的に訪問しますが、緊急対応もしてくれるので、万が一のときでも安心です。要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

居宅療養管理指導

医師や看護師、薬剤師などの医療従事者が訪問し、療養上の管理指導を行います。ケアマネジャーに対して、ケアプランの作成に必要な情報提供も行います。要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

訪問リハビリテーション

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が訪問し、心身の機能の維持や回復、日常生活の自立を支援するためにリハビリテーションを実施。自宅環境の改善や提案、介護する家族へのアドバイスも行います。要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

夜間対応型訪問介護

24時間、自立した日常生活を安心して送れるよう夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)を訪問します。「定期巡回」、「オペレーションサービス」、「随時対応」の3種類のサービスがあります。

 

定期巡回は夜間帯に定期的に訪問し、排せつの介助や安否確認などを行います。オペレーションサービスは体調の不安などに電話で応じてくれます。随時対応は夜間に体調が急変したり、アクシデントが起こったりしたときに救急車の呼ぶなどのサービスを受けることができます。要介護1~5の方が利用できますが、要支援の方は利用できません。

 

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

訪問介護と訪問看護を24時間体制で行うサービスです。基本的なサービスは定期的に訪問する「定期巡回」とオペレーターが24時間対応し、必要な場合に専門職が駆けつける「随時対応」が特徴。要介護1~5の方が利用できますが、要支援の方は利用できません。

 

 

在宅介護で利用できるサービス②(通所型・宿泊型)

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介護施設に利用者が日帰りで通う「通所型サービス」、宿泊してサービスを利用する「宿泊型サービス」、「その他サービス」についてそれぞれの特徴を解説します。

 

 

通所型サービス

通所介護(デイサービス)

デイサービスセンターなどの施設に日帰りで通い、介護やレクリエーションなどのサービスを受けます。本格的な介護というより、QOL(生活の質)の向上を目指すことが目的。クルマで自宅まで迎えにきてくれるサービスも多く、歩行が困難な人でも安心です。要介護1~5の方が利用できます。要支援1・2の人の「通所介護」は2017年4月から、市区町村が取り組む「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」で行われています。

 

地域密着型通所介護

利用者が自宅で自立した生活が送れるようにするため、地域密着型通所介護施設(定員19人未満のデイサービスセンターなど)に通って介護サービスを受けます。施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援などを日帰りで提供します。利用者の自宅から施設までの送迎も行います、要介護1~5の方は利用できますが、要支援1・2の方は利用できません。

 

認知症対応型通所介護(認知症対応型デイサービス)

その名のとおり認知症の人に限定したデイサービスで、サービス内容も認知症に特化しています。利用するには「医師による認知症の診断」などが必要で、要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

通所リハビリテーション(デイケア)

主治医が決めた介護要人保健施設などに通って、リハビリのサービスを受けます。通所介護(デイサービス)よりも医療的なケアを目的とし、施設には理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師などがいます。要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

 

宿泊型サービス

短期入所生活介護(ショートステイ)

介護施設に短期で入所して受けるサービスです。1日から利用でき、数日から1週間程度利用する方が多いようです。レクリエーションや入浴、食事などの生活支援も用意されており、必要なサービスをピンポイントで受けることができます。要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

短期入所療養介護(医療型ショートステイ)

介護施設に短期間宿泊できるサービスです。数日から30日を限度として利用できます。ショートステイと同様、食事や入浴などの支援のほか、医師や看護師による医療や理学療法士などによる機能訓練が受けられます。要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

 

その他サービス

小規模多機能型居宅介護 ※地域密着型サービス

訪問介護や短期間のショートステイを提供。介護や生活支援、機能訓練などを「訪問・通所・宿泊」の3つから希望に応じてサービスを受けられるのが特徴です。ただ、このサービスの利用中は訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具以外のサービスは利用できないので注意が必要です。要介護1~5、要支援1・2の方が利用できます。

 

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)

小規模多機能型居宅介護と看護訪問を組み合わせた複合型サービスです。小規模多機能型居宅介護よりも医療的ニーズが高い方が対象ですが、小規模多機能型居宅介護と同様に訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、福祉用具以外のサービスは利用できません。要介護1~5の方が利用できます。

 

 

通所型、宿泊型のいずれを利用する際、かならず利用者の移動が伴います。そのための車いすやスロープなどの介護用品を用意しておくと良いでしょう。介護用品は専用品であるため、さまざまな種類のものを揃えると費用がかさみます。レンタルを利用するなど、工夫すれば費用を抑えることができます。

 

 

在宅介護サービスを受ける流れ

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在宅で介護サービスを利用したいとき、どのような手続きをすればいいのでしょうか。介護サービスを利用できるようになるまでの主な流れを説明します。

 

 

1.介護を受ける人の居住地の市区町村にある高齢者福祉窓口、または地域包括支援センターに申請を行う

 

2.市区町村の職員や委託を受けたケアマネジャーなどが自宅を訪問。本人の心身の状態や日常生活の様子などについて聞き取り調査を行う

 

3.市区町村の依頼により、かかりつけ医が主治医意見書を作成する

 

4.聞き取り調査の結果とかかりつけ医の意見書をもとに、一次判定を実施。次に、保健・医療・福祉の専門家が二次判定を実施

 

5.申請日から30日以内に「要支援1・2」、「要介護1~5」、「非該当(自立)」のいずれかの判定が出る

 

6.ケアマネジャーが利用者本人や家族と相談しながら、介護サービスの利用計画書(ケアプラン)を作成する

 

7.ケアプランに基づいたサービスを利用開始整備

まとめ

在宅介護を無理なく行うためには、ケアマネジャーとともに利用者の状態や介護者の状況に合わせた介護サービスを相談しながら、適切に組み合わせて利用することが重要。在宅介護の長期化や在宅介護が困難になったときに備え、介護施設や民間の老人ホームなどに入所・入居する選択肢も視野に入れおくとよいでしょう。

 

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よくある質問

在宅介護とは?
老人ホームなどの高齢者施設へ入居せずに在宅で介護を受けることを指します。それまで人生を送ってきた家や地域で暮らすことは、本人の精神面やQOL(人生の質)から見て好ましいですが、共に暮らしながら介護をする家族にとっては負担が大きくなります。
在宅介護のメリットとデメリットは?
在宅介護は、住み慣れた家や地域で暮らすことで、要介護者の精神的な負担を低減できたり、要介護者の体調変化に気付きやすかったりなどといったメリットはあるものの、介護者には精神的・肉体的・費用面でデメリットもあります。
在宅介護で利用できる主なサービスは?
介護される利用者の自宅(居宅)にヘルパーや介護士、看護師など、介護・医療専門職が訪れて行う「訪問型」。介護施設に利用者が日帰りで通う「通所型サービス」、宿泊してサービスを利用する「宿泊型サービス」があります。
在宅介護サービスはどのように利用する?
大前提として、要介護認定の申請をして要介護認定を受ける必要があります。認定の通知を受けたら、ケアマネジャーと在宅介護のケアプランを作成してもらうことで、介護サービスを受けることができます。
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